ニライカナイ
——海の彼方の理想郷を、名前にした理由
ニライカナイとは、沖縄・奄美に伝わる「海の彼方にあるとされる理想郷」のことです。豊穣も、幸福も、命の恵みも、海の向こうのニライカナイからやってくる——そう信じて、沖縄の人々は海と共に暮らしてきました。私たちは、業務システムにこの名前をつけました。この記事は、その理由の話です。
海に34年いると、この言葉の重さがわかる
私は1992年からダイビングの現場に立っています。沖縄の海人(うみんちゅ)の文化では、ニライカナイは単なる昔話ではありません。旧暦の行事に、拝みに、日々の言葉の端々に、今も生きています。海は恵みをくれる場所であり、同時に畏れる場所。その彼方に理想郷を見た先人たちの感覚は、毎朝海況とにらめっこする人間には、よくわかるのです。
だから、この名前を軽々しく使うことには、ためらいもありました。それでも名乗ることにしたのは、私たちの仕事がまさに「彼方から恵みを運ぶこと」だと本気で思ったからです。
理想郷は、待つものではなく、呼び寄せるもの
私たちにとっての理想郷は、大げさなものではありません。
スタッフが定時に帰れること。
経営者が家族と夕食をとれること。
お客様の名前を、ちゃんと覚えていられること。
たったこれだけのことが、中小のサービス業では「彼方の理想」になっています。原因は、名もなき作業——1件の予約を平均7回書き写すような、名前のない仕事の山です。
ニライカナイの信仰では、恵みは待っていればやってくる。でも現実の経営では、待っていても夜9時の事務作業は消えません。理想は、仕組みの力で現場に呼び寄せるもの。それが「Nirai」という名前に込めた、私たちの決意です。
「海の彼方から、現場の仕組みを、アプリに宿す」
Niraiシリーズのブランドコピーは、こう書きます。彼方にあるのは魔法ではなく、34年分の現場の知恵です。朝の海況判断、器材のサイズ繰り、体調確認の声かけ、月末の数字——それらを仕組みに写し、アプリに宿す。だから、Niraiの機能はどれも、現場の誰かの夜を短くするために存在しています。
沖縄で生まれた仕組みが、海を越えて、全国の「夜9時の事務所」に届くこと。それが私たちの考えるニライカナイの現代の形です。